喪失に伴う感情

記事公開 2020年9月27日


親しい人や慣れ親しんだ環境、住み慣れた家、財産、地位などを失った時、人は誰しも強い感情を体験します。
強い悲しみや気分の落ち込みが生じ、怒りや恨みの感情が生じることもあります。そして、その感情が自分への怒りや攻撃となることもあります。

信頼している人から裏切られたと感じた時、理想としていた人に幻滅した時などにも強い感情が沸き起こりますが、
自分の中にある相手へのイメージと現実とのギャップに直面することも、自分の心の中で相手に抱いていた期待を喪失することでもあります。
自覚はなくても日常で様々な喪失に出会っているかもしれません。

喪失の体験はとても辛いものです。
ですから、その辛さを感じないようにしたい、消し去りたいと思う人も少なくないと思います。

心配させないようにと周囲に配慮して、本当の気持ちに蓋をすることもあるでしょう。
本音は出さない方がよいと考えたり、悲しむこと自体いけないことのように感じたりして、
「元気が一番」「楽しく過ごすべき」と前向きさばかりを尊重してしまうこともあるでしょう。

しかし、そのような対応ばかりになってしまうと、
喪失に対する自分の感情が見えないままになってしまい、かえって喪失を引きずってしまうことになりかねません。

喪失に伴う感情

感じることを回避し続けると…

大きな喪失体験によって、初めは強いショックにより何も感じられない、悲しみの感情が沸かない、という状態になります。

しかし、ショックの時期を過ぎていくと、次第に悲しみや怒りなどを感じるようになるでしょう。そのような時期に差しかかかったら、自分の感情を回避せず、そのまま感じることがとても大切です。

悲しみや怒りなど、喪失に伴う感情は人間的な経験です。
自分の感情を感じないように回避してしまうと、このような経験が妨げられます。

加えて、強い感情や葛藤を刺激される事柄に出会った際、感じたり考えたりすることができにくくなる可能性や、
強い感情が起こりそうだと予測される場面を避けるようになる可能性もあります。


感情を感じることを回避せずに友人や家族などの信頼できる方に気持ちを話してみたり、
正直な気持ちをノートに書いてみたりすることもよいでしょう。

ただ、一人で抱えてしまうと、ネガティブなことを考え続け、自分自身を責める方向や絶望的な思考から抜け出しにくくなることもあります。
出口の見えないネガティブ思考にはまらないような方法を選択していただきたいと思います。
 

安全な場所で自分の感情を十分に味わう…心理療法

悲しみ、怒り、恨み…
喪失によって喚起される感情が否定的なものだったとしても、その感情は
その人にとって、とても大切なものです。

心理療法では、喪失に伴う感情を十分に体験し、味わうことをとても大切にします。それが否定的な強い感情だったとしても、同じような感情が繰り返し現れたとしても、重要なこととして尊重します。

そして、その表現を受け取った治療者を通して、自分自身の感情を把握し、振り返り、考えられるようになっていきます。

すると、「その対象と一体化しすぎていて、対象が失われたことで自分自身を失ったように感じていた」という状況や、「その対象への期待が大きかった」という自分の思いなど、失った対象と自分との関係やつながりが見えるようになってきます。

このような作業の繰り返しを経て、強い感情に支配されていた状態から、感情を持ちつつも、それにとらわれない状態へと変化していきます。

喪失を認め、自分に沸き起こる感情を味わい、喪失した対象と自分とのつながりを振り返る。
苦しさや辛さが伴う作業ですが、その対象からの分離や自立を果たすことになります。

 

 

悲しみや落ち込み、怒りを抱えている方へ

悲しみや落ち込み、怒りなどの感情を抱えていらっしゃる方、
喪失の体験をどのように乗り越えたらよいかとお困りの方は、
ご自分の感情について検討していくことが役に立つかもしれません。

たま・国分寺駅前心理療法オフィスでは、生じている感情を味わいながら、どういう背景からくるものなのかを共に考えていく心理カウンセリング、心理療法(精神分析的心理療法)を提供しております。

喪失に伴う感情を十分に経験し、味わうには精神分析的心理療法が適しています。精神分析的心理療法では、自分自身を探索し、これまで気づいていなかった自分(無意識)に気づき、感情や悩みの背景や理由を理解することにより、以前よりも自由に感じ考えられるようになることを目指しています。
 

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